君がくれた約束[続編]
「今日はお忙しい中、沢山の方にご来場して頂き、ありがとうございます」
シュウの声がマイクを通して会場に響く。
私はそれをボーッと眺める。
秀司の方を横目で見ると、下を向いていた。
「…秀司?」
「……」
秀司の気持ちは私が1番解る。
「秀司、出よう?」
私は秀司の腕を掴んで少し前屈みになり、イベント会場を脱け出した。
外に出ると秀司は階段の所に座り込み、私は自動販売機でジュースを買うと、秀司の頬にくっつける。
「冷て…」
「仕事だよ、仕事!」
秀司はジュースを開け、一気に飲むと口を開いた。
「リカコがさ、今回の仕事始めてから電話に出ないんだ…」
「……」
「アイツ、俺と終わらせたくて、あの仕事受けたのかなって…」
秀司はそう言って頭を抱え込む。
私は秀司の隣に座って、何も言わないで、ボーッと車を見ていた。
こんな時に出てくる言葉なんて、どんな言葉でも安っぽくなってしまうだろうから…。
二人黙ったまま時間が経つと、イベントが終わったみたいで、沢山の人が会場を後にする。
すると鞄が震えて、私は鞄の中から携帯を取り出した。