君がくれた約束[続編]
シュウに電話する事が、こんなに憂鬱になるなんて……
私は滋賀に着くまでずっと、シュウにする言い訳を必死に考えた。
紗香……。
そうだ、東京に行ったついでに紗香に会った事にしよう。
紗香の家に行って最終便を乗り過ごして、秀司と泊まって…。
携帯の充電が切れたって言えば大丈夫だよね?
でも、携帯を変えて紗香の番号が分からなくなったから、おかしいって怪しまれる?
私の携帯に入っている番号は千里しか無い……。
紗香か千里に名前を貸してもらうしかないよね。
そして滋賀に着き、新幹線を降りる。
秀司と別れるとき、秀司が言った。
「家、どこ?」
「えっ?」
「送った方がいいだろ」
「ううん、いい。お父さん、もう仕事行ってると思うし……」
昨日は秀司にドキドキしてたのに、今はそんな気持ちはひとつもなくて、両親に秀司との仲を誤解されたくない。
「そっか。じゃあ、又電話してこいよ?」
「……うん」
「あと、これやるよ」
そう言って差し出されたのは、昨日リカコさんの為に秀司が買っていた、指輪が入った箱だった。
「えっ、いいよ。リカコさんの為に買った指輪でしょ?」