君がくれた約束[続編]

土曜日迄の日々は私にとって凄く長くて……。

でも、もう二度と会えないと思っていた頃に比べると、幸せだった。


人は貪欲で、もう二度と会えないと思うと、一度でもいいから会いたいと思い、一度会えばもう一度会いたいと思う。

普通に会えるようになると、毎日でも会いたいと思うんだ。


そして、相手に対してもっと多くを望み、依存していく。


一度してしまった失敗を、もう二度と繰り返さないように……。


自分の胸に強く誓う。




そして土曜日が来て、私は出掛ける準備をする。


シュウと再会した日に買った服を着て、丁寧に化粧をして、母親に買って貰った腕時計をつけた。



「じゃあ、行って来ます」


「行ってらっしゃい。明日は余り遅くならないようにね」


「うん」



バスに乗り、新幹線に乗り、シュウが待つ東京駅に向かう。


少しずつ東京が近付くと、指の先が冷たくなって心臓が速くなる。

シュウにもうすぐ会えるんだ。



そして、東京駅に着くとすぐにトイレで自分の姿をチェックして、シュウが待つ改札口に向かった。


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