後編 かすみ草の恋 ー大学生編ー
なにそれ??
いい子ぶってる??この私が??


全然いい子じゃないし…


現にすんごい顔して
ヤキモチ焼いて乗り込んできた
嫉妬に燃える嫌な女だけどな…



「えっ?私……
全然いい子じゃないけど?
今ここに立ってる時点で相当嫌な女だと思うけど……」


女の子の言葉に訳がわからず
首を傾げると


大好きなニオイに包まれた。
後ろからギュッと私を
抱き締めて首のあたりに顔を埋めると


「もうダメだ…ミカ反則だって
かわいすぎるでしょ…」


囁くように言うから


一気に身体中が熱くなっていくのが
わかる。


さっきまでの威勢もあっちの山まで
飛んでいっちゃって
急に現実に引き戻されると
どうしようもなく恥ずかしさが
込み上げてきて悶絶していると


「ミカちゃん真っ赤(笑)
かわいすぎる!!」


「ミカ先輩〜!!
スーパーかわいいっス!!
やっぱミカ先輩以上の
マドンナはいません!!(笑)」


「ミカちゃん…俺鼻血でそう(笑)」


3人に茶化されて更に恥ずかしすぎて
何も言えなくなっていると…


「おい、お前らいちいち
言うことがムカつくんだよ!」


と私を抱き締める力を緩める事なく
レイジが言うと



「「「だって事実じゃん」」」
と、息ぴったりに3人が答えて
ゲラゲラ笑うから


私を抱き締めたまま
レイジもつられて笑い出した。


それを見た女の子たちは
真っ赤になってレイジを見ていた。


「山田君の笑顔初めて見た…」


「ヤバイ…私は長谷川君が好きだけど
山田君の破壊力は凄すぎる…」


「ムスッと王子の笑顔が眩しい…」


そして、レイジを好きな女の子も
トロンとした顔をして
レイジを見つめていたけど
キッと私の方を睨むように見て


「あんたその顔で、バカみたいに
お人好しなのね!
私は、山田くんを独り占めにしたいから絶対に諦めない!!
とことん邪魔してやるから!!
覚えてなさいよっ!!」


強気な彼女は
精一杯強がって
私達に背中を向けて
歩いて行こうとしたら


レイジは逃がすものかと
トドメの一発を刺した。



「ねぇ、頼むから勘弁してくれない?
俺が誰を好きだか見ればわかるでしょ?
俺とミカを引き離そうとする奴が
俺は大嫌い。
俺はあんたみたいなのが1番嫌いだ。
自分の気持ちを相手に押し付けて
周りの迷惑も考えない。
そんなあんたが大嫌い。
出来れば俺の周りをウロウロして欲しくない。顔も見たくない。
俺はミカしかカワイイと思えないし
ミカだけしか好きになれない。
少しは俺の迷惑も考えてくれ。
あんた達もだ。俺らはマスコットじゃ
ねぇんだ。あんた達と同じ血が流れてて
同じように感情があるんだ。
嫌なもんは嫌なんだ。」


とレイジが迷惑そうな顔して
女の子達に冷たく言い放つ。


レイジはどんな顔でも
かっこいい。怒ってても笑ってても…


かっこよすぎる分
冷めた表情は綺麗すぎて
恐ろしかったりする。


ここまで言われると
さすがの強気な彼女も顔をグチャグチャ
にして涙をポロポロ流し


「で でも!!私の気持ちは?!
私だって山田くんが好きなの!!」


「そんなの知らねぇよ!!
俺が好きなのはこの子しかいないから」


「じゃぁ、2番でもいい!!」


「そんなもんいらない。
ミカだけが側にいてくれればいい。
ミカにだけは嫌われたくない。」


ギュッと後ろから抱き締める力を
強めるから、振り返ると
優しい眼差しで私を見ると



「ミカに嫌われたら
俺、頭おかしくなるから
嫌わないでね」


と、言って触れるだけのキスをした。



それを見て、女の子は泣きながら
走って行った。


私は咄嗟に追いかけようとしたけど


レイジが黙って首を横に振ったので
私はそれ以上何も言えなかった。
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