雨水、恋ふ。



それから私言ったじゃない。





もう、あなたを雨になんか濡らさせたりしないわ。

いつでも側にいて、雨降りの時は一緒に傘に入りましょうって──────





女が男に結婚を申し立てるなんて、

みっともないとお父さんに怒られましたよ

お陰様で……。





でも、後悔なんてしてないわ。

あなたといっしょに生きてこれて、幸せだった。








それで……結局、雪は積もったの?

ねぇ、聞いてる?

流石に怒っちゃうわよ!





─────あら、雨?




大変、雨が降ってるわ。

傘はどこかしら。



私、もうあなたを雨になんか濡らさせたりしないって約束したじゃない。






─────おいて、いくな。






置いていく?

何言ってるのよ。



置いていくわけないじゃない!





だって私は、あなたの妻なんですよ?

卵焼き一つ作れないあなたを置いて何処に……





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