この恋を叶えてはいけない
6章 最低な女
「ゆーいかっ」
「え?」
突然覗き込まれた顔。
ふと焦点を合わせると、目の前には巴がいた。
「何ぼーっとしてんの?もう授業終わったよ」
「あ、そっか」
気がつけば、教壇にいた先生の姿はなく、生徒も立ち上がり、次の授業の生徒と入れ替わり始めている。
あたしも慌てて、机の上にある教科書類をカバンに詰めた。
「何かあったの?」
「ううん。何もないよ」
笑顔を作って、巴に向ける。
だけどあたしの心は、ずっと熱に侵されている。