この恋を叶えてはいけない
 
嵐のあの夜、初めて駿の家に泊まった。


兄妹と分かってから、初めての一夜。

交わしてしまった口づけ。


だけどあたしたちの間に、それ以上のものはなかった。



お互いに惹かれあっているのは事実で
今までこんなにも人を欲しいと思ったこともない。

だけど現実につきつけられた二人の関係が、あたしたちを引き止め
その一線を越えることはなかった。


自分たちでも分かっているから……。


もしこの一線を越えてしまったら、
もう二度と……引き返すことは出来ない。


世界のすべての人を敵にまわし
二人だけで生きていかなければならないと。



まだ……

今のあたしたちならまだ……



別の誰かを愛することができると

可能性を夢見てる。
 
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