この恋を叶えてはいけない

「なんでそんな声出すんだよ……。
 ずっとこの手で感じてきたんだろ?」

「…っ」


そうだ……

あたしはずっと、この腕に抱かれてきた。


この指に感じ
貴志とひとつになってた。



怖くなんかない。

それよりももっと怖いのは……




実の兄を好きと思っている自分だ。




「……」


あたしは、抵抗していた力を緩めた。



「……唯香?」

「なら……めちゃくちゃにして」



頭が、恐ろしいくらい冷静になる。

今の自分に必要なことが……
自分を痛めつけるものなんだと……。



「何も考えられないくらい、めちゃくちゃに抱いてよ。
 あたしが貴志しか考えられなくなるように」

「……ああ」



強気に見つめるあたしに、貴志は一瞬驚いた顔をしたけど
すぐニッと笑って、再び口付けた。
 
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