この恋を叶えてはいけない
「唯香……」
苦しそうに、あたしを見つめ、名前を呼ぶ貴志。
貴志が、あたしの中に入ってくる合図だ。
あたしは抵抗することなく、再び目を閉じた。
きっともうこれで
駿のところにいくことはできない。
「………やめた…」
「え……?」
だけど貴志はあたしに触れることはなく、そっとあたしの上からどいた。
「なんで……」
「ごめん。やっぱ俺には……今のお前、抱けねぇや」
「……」
「だって唯香、一度も俺の名前を呼ばねぇんだもん」
ドキン、と衝撃がはしった。