この恋を叶えてはいけない
家に帰るなり、駿はあたしを部屋にいれて、自分はどこかへ電話をしていた。
「はい。すみません、急に……。では、失礼します」
そしてすぐに電話を切ると、ソファーに座っているあたしの横へ腰掛けた。
「大丈夫…なの?何か予定とかあったんじゃ……」
「それなら、今電話したから大丈夫」
「え……でも…」
「今は入ってた予定よりも、唯香のこの状況のほうが大事だから」
「……」
駿はズルい。
駿はヒドい。
簡単にそんな言葉を言って、あたしの心をどんどんと取り返しのつかない方向へともっていく。
「で?何があったんだ?」
「何、も……」
「嘘つけ。何かあったから、そんな顔してたんだろ。
無意識で俺のところに来ちまうくらい……」
「……」
嘘もつかせてくれない。
じゃあ、あたしは正直に自分の浅ましさを話せばいいの?
「唯香……」
「…っ」
ずっと俯くあたしの肩を、駿が掴んで自分のほうへ向かせた。