この恋を叶えてはいけない
「本当にどうし……」
目が合ったかと思うと、駿の視線がずれた。
言葉も止められ、一点を見ている。
そして手が上がったと思うと、長い人差し指があたしの首筋をなぞった。
「……これ…が、関係あるのか?」
「ぁっ……」
なぞられて分かる。
鏡で確認してないから分からないけど、
多分そこには、さっき貴志につけられたであろうキスマークがあって……
「ち、違うよっ……」
あたしは、慌ててそこを自分の手で覆った。
だけど駿の眼光は鋭くなるばかりで、首筋を覆っていたあたしの腕をつかむ。
「何があった?」
「だから何も……」
「場合によっては、つけた相手をタダじゃ済まさない」
その瞳に、冗談なんか一欠片もないと分かった。