この恋を叶えてはいけない
 
「どうした?後悔でもしてる?」
「してないよ。そんなの。
 ………ただ…」
「ただ?」


「怖い、だけ……」


駿に抱かれたことは、一ミリたりとも後悔してない。

心の中でずっと望んでいたし
罪悪感とか打ち消せるほど、好きという想いが増幅しているから。


だからこそ、あたしの中に広がる恐怖。



「いけないことをしたって言うのに……

 あたし今、すごく幸せなの……。

 そう感じてしまっていることが怖い」



いつからあたしは、こんなにも人から外れた心を持ち合わせてしまったんだろう。

きっと他人から見れば、可哀相な二人にしか見えないはずなのに……


「大丈夫」


駿はあたしの髪をかきあげると、優しく微笑む。



「俺も今、すげぇ幸せだから」



その言葉で、不安という名の恐怖は、いっきになくなった。
 
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