この恋を叶えてはいけない
 
「俺はもう、迷ったりはしない。
 この先もずっと、唯香を好きでいるから……。

 世間なんてどうでもいい。
 兄妹という形でも……傍にいることを許されるなら、とことん利用してやる」


「駿……」


「だけど俺にとって唯香は、

 ただ一人の、大切な女の子だよ」


「…っ」



涙が溢れ出た。

こんなにも嬉しい言葉があるなんて知らなかった。


心から湧き出る想い。

身体中が熱で侵されていく。



「あたしもっ……

 もう迷ったりなんかしない。


 駿が好きっ……世界で一番……誰よりも……」


「唯香……」



頬を伝う涙を、駿が指で拭う。

そして涙でぐちゃぐちゃなその顔に、優しいキスをおとした。
 
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