この恋を叶えてはいけない
9章 儚き約束
「っていう人が新しく入ってきてさ……。
これからほんとにバイトが憂欝……」
「……」
次の日の夜、駿の家のソファーで愚痴を漏らす。
つい戸村さんのことを、駿に報告していた。
一方的にあたしが一気に話したけど、最初は相槌を打っていた駿の返事がいつの間にか返ってこない。
不思議に思って振り返った瞬間、
「きゃっ……」
そのまま体を、ソファーの上に押し倒されてしまった。
「ど、どうしたの?」
「どうした、じゃねぇよ。
お前、俺に妬かせたいの?」
「え?」
鋭い目で見つめられ、どうして駿が怒っているのか分からない。
だけど今の今まで戸村さんの話をしていたってことは……
「もしかして……今ので心配になっちゃった…?」
「……」
目をぱちくりさせて尋ねるあたしに、駿はバツが悪そうに目を逸らすだけ。
そんな駿の姿を見て、一瞬でむずがゆい気持ちになった。