この恋を叶えてはいけない
 
「もー……」
「何笑ってんだよ」
「駿が可愛いから」
「……」


こんな些細なことで、嫉妬をする駿が愛しくてたまらなかった。

堪えきれない笑みが、つい口元から漏れてしまう。


「お前、お仕置き」
「え?んっ……」


だけど、にやつく唇は駿にとらえられてしまい、
すぐに息づく間もないほど余裕をなくす。


さっきまで微笑んでいた瞳は、あっという間に涙で憂いのある瞳になってしまった。



「これで分かった?
 お前は俺のモノだってこと」

「そんなの……最初から分かってるし、駿以外のところに行くつもりないよ……」



ニヤッと笑う駿に、見上げて答える。


もともと戸村さんは、あたしをからかっていただけ。

それに、たとえ本気で言われたとしても、あたしの気持ちが揺らぐことはない。
 
< 143 / 326 >

この作品をシェア

pagetop