この恋を叶えてはいけない
「海、行きたい」
散々乱れたあと、闇に包まれたベッドの上で天井を見上げた。
ふと思い立ったのが、そんなこと。
「海?」
「うん……。
あたしと駿が出逢った海……」
「そっか」
つい1か月前の出来事なのに、それはずいぶん前のことのような気がして
あの日、まるで駿ではない別の人に会ったんじゃないかとさえ思った。
「明日、行ってみるか」
「え?明日?」
「そ。何か予定ある?」
「ううん……何もないけど……」
明日は土曜日。
学校もなければ、バイトも入れてない。
だからこそ、今、駿の家に泊まりに来てたんだけど。
「どうする?」
もう一度確認するかのように振り向いて聞いてくる駿。
目が合うと、すぐに口元をゆるませ、
「行く」
一言で答えた。