この恋を叶えてはいけない
「もう使われてない教会みたいでさ。
結構人が自由に出入りしてるみたいなんだ」
駿はある程度ここを調べていたのか、何のためらいもなく前へ進んでいく。
重たく閉ざされた扉を開け、そこに広がるのは
ステンドグラスが太陽の光でキラキラと光る
幻想の世界のような空間だった。
「綺麗……」
思わず声が漏れ、駿が微笑んだ。
そしてもう一度手を握り直すと、中へ踏み込んでいき
イエスキリスト像が高く立つ、その下まで進んだ。
「いつか……
絶対に連れてきたいと思ってたんだ」
「え?」
ふと顔を上げると、そこには真面目な顔をした駿。
思わずどきっとし、次の言葉を待った。
「唯香と俺が、自分たちの気持ちを受け入れても……
正式な場として、踏み入れることは出来ないから」
重たい言葉。
だけどそれは、あたしも覚悟していた言葉。
あたしたちは、
みんなの前で、こうやって立つことは出来ないだろう。