この恋を叶えてはいけない
「唯香」
もう一度名前を呼ばれ、駿の顔を見上げた。
「俺は……
唯香にドレスを着せてやれない。
友達や家族に、おめでとうって言わせてやれない。
唯香に……命を授からせてやることもできない」
一つ一つ、
大切な言葉を扱うように、はっきりと伝える。
あたしもその言葉から目をそむけないよう、しっかりと胸に刻み込んだ。
「だけど……
その分……いや、それ以上に、
俺が唯香を愛す。
ここで今、それを誓うよ」
「……っ」
その言葉は、あたしの瞼に自然と熱い涙をこみ上げさせ
溜まり切れない涙が、瞳の外へ零れ落ちた。