この恋を叶えてはいけない
10章 母の想い
「つーかーれーたーー」
「お疲れ」
夜の9時を過ぎたころ、なだれ込むようにお母さんが帰ってきた。
今日は日勤だったみたいで、夜は一緒に眠れる。
しかも明日はお母さんの休日だ。
「今日のご飯なぁに?」
「チキンのテリヤキ。あと、スパゲティサラダ」
「わーお!やったぁ!」
なんてはしゃぐ母を見て、
どっちが子どもなのか最近分からなくもなる。
お母さんは倒れこんでいた体を起こして、ささっと部屋着に着替えると、髪をたばねテーブルについた。
あたしもそれに合わせて、温め直した料理をテーブルに並べていく。
「いただきます」
と手を合わせ、箸をつける。
あたしはすでに食べ終えていたので、横に並びながらテレビを見ていた。
「あーおいしー!
やっぱ唯香の手料理最高だわ」
「ありがとう」
笑顔でそう言ってくれるお母さんを見ると、
学校が終わってからの家事も、全然苦になんかならないな、なんて思っていた。