この恋を叶えてはいけない
先にシャワーを浴びて、髪をタオルで乾かしながらリビングへ戻ると、
料理が入っていたお皿はすでに片づけられていて、代わりに缶ビールが並べてある。
「唯香もどう?」
「それ、母親の言うセリフじゃないよね」
「あはは。そっかー。唯香まだ未成年だっけ」
と笑うお母さんは、すでに結構酔ってる。
冷蔵庫から、ペットボトルの水を取り出すと、再び横に並んで水を飲んだ。
「唯香ー。いつもありがとね」
「何急に……」
突然改まってそんなことを言う母に、思わず苦笑して振り返った。
お母さんは、酔っているものの、その顔は幸せそうな笑顔だ。
「唯香がいるから、お母さん生きていけるのよ」
「大げさ」
「だってそうなんだもん」
だもん、って……あんたはいくつだ。
「……お母さんだって、いつも仕事頑張ってくれてるじゃん。
感謝してるよ」
「ふふっ……だって唯香が可愛いから」
今日のお母さんは、愛情が絶好調だ。
聞いてて恥ずかしいところもあったけど、
やっぱり嬉しい気持ちがいっぱいだったので、その会話にとことん付き合ってやった。