この恋を叶えてはいけない
 
何を話しているのか分からない。

だけど駿の顔は、どんどん追いつめられたような表情になっていき……



「今すぐそちらに向かいます……」



そう言って、静かに電話を切ると、
唇を噛んであたしを見つめた。


「行くぞ」
「ど、こに……?」
「病院に決まってんだろ」


ああ、そっか……。

そうだ……
早くお母さんに会いに行かなくちゃ……。


何やってんの?
気を付けてよ!!


って怒らないと……。



「おかあさん……

 大事には至ってないよね……?」

「……」


その質問に、駿は答えてくれなくて……


「駿……?」



「………即死……だったって……。

 もう……救急車が駆けつけたときには、息を引き取ってた……らしい」




早く……


夢なら覚めてほしい。
 
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