この恋を叶えてはいけない



「胸が張り裂けそうだな……」

「……うん」



夕日が沈むころ、
ようやく発せられた駿の声。


ずっと黙っていたその声は
少しだけしゃがれていて……

返事をしたあたしの声も、ほとんどがかすれた声だった。



「もう……

 後悔はしないな……?」


「……うん…」


「戻ってくるなよ?」


「……うん…」



駿の腕の力が弱まる。


止まっていたはずの涙が

またじわりと瞼まで浮かんできた。
 
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