この恋を叶えてはいけない
 
でもその日から、なんとなく不審なことが起こり始めた。


夜はなんとなく誰かにつけられているような感じ……。
迷惑メールと思われるような、よく分からないメール。


ストーカーにあっているような、そんな感覚があった。



「唯ちゃん、まだ帰れないの?」

「え?あ、うん……」


気づけば、8時を過ぎていて、
帰宅する人たちが続々と席を立っている。

知香ちゃんも帰るようで、あたしに一言声をかけてきた。



本当は帰れる。

だけどなんだかあの部屋に帰るのが怖くて
なかなか席から立ち上がれずにいた。


「じゃあ、あたしは先帰るね」

「うん。バイバイ」


と、ご機嫌で帰っていく知香ちゃんの背中を見送った。



どうしよう……。
だからといって、いつまでも会社に残っているわけにもいかないし……。


なんとなく
無意識に携帯を手に取っていた。
 
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