この恋を叶えてはいけない
「なら、一緒に帰ろうか」
「……はい」
なんとなく、その言葉に安心してしまった。
一人で帰る夜道が怖くて
少しでもいいから、知っている人が隣にいてほしい。
だけど……
やっぱり、最寄駅とか違うよね……。
「どうかした?」
「え?」
一緒に帰るものの、上の空で並んでいたあたしに戸村さんが顔を覗き込んできた。
ハッとして、笑顔を作ると、
「なんでもないですよ」
と明るく答えた。
ダメダメ。
人の前ではちゃんと笑ってないと……。
心の中で気合を入れて、戸村さんを見上げた。
「そういえば戸村さんは……」
「唯ちゃんは、いつもそんな顔しとるよなぁ……」
「え……?」
話を振り掛けようとすると、
それを戸村さんに遮られた。