この恋を叶えてはいけない
14章 身近な存在
「はぁ……」
最寄駅のホームに降りると、思わずため息が漏れた。
上着のポケットの中には、先ほど戸村さんにもらった連絡先が書いてある紙切れが入っていて……
ポケットに手を入れると、その紙に触れた。
(俺……
多分、3年前のあの時から……
唯ちゃんに惚れとるから)
突然の告白。
そんなこと、考えたこともなかった。
戸村さんとは、あのお弁当屋さんで働いていた時に、ちょこっと話したくらい。
教育担当になって、確かに一番近い距離にいた。
だけどせっかく教育担当を任されたというのに、お母さんの死に直面して、戸村さんと一緒に働いていたのは1か月ほど。
だからこれといって、大きなかかわりもなかったはずだ。
今回の再会をするまで
正直、思い出したりすることもなかったのに……。