この恋を叶えてはいけない
1章 傷心旅行
「あっつ……」
重たい手提げ鞄を持って
顎にしたたる汗をぬぐった。
ギラギラと照りつける太陽。
誰も通らない道。
あたしは一人、携帯の地図画面を見て歩いていた。
「この説明、絶対に嘘でしょ」
もう一つ手に持っていたのは、
ペンションのカタログ。
駅から徒歩10分!
そう記されているのに、いっこうにつかない目的地。
「タクシー使えばよかった……」
今さら後悔しても、車が通る気配もなく、仕方なしに歩き続けた。
これも全部、アイツのせいだ……。