この恋を叶えてはいけない
 
改札を出て、いつもの夜道を歩いた。

あたしの家は、駅から歩いて10分ほどの場所にある。

最初は大通り横を通るものの、少し歩いたら住宅街へ。
そこからが、人通りも少なくなって、恐怖を感じるのだ。


今日はもう夕ご飯を作る気はしなくて、コンビニで適当にお弁当を買う。

そのまま買い物袋をぶら下げて、いつもの道を歩いていた。


だけど……



「……」



なんとなく感じる、人の気配……。


なんだろう……。
決してその足音は、近いわけではない。

駆け寄ってくることもないし、ある程度の距離があるから、
たまたまこの道を歩いているだけかもしれない。

そもそも、相手が男か女かも分からない。


だけど最近の自分の身に起こることから、ざわざわと胸騒ぎを感じ、恐怖でいっぱいになった。



早く……

帰らないと……。


走り出したいのに、足がすくんでなかなか動かなくて
必死に重たい足を引きずりながら、なんとか自分のアパートまでたどり着いた。
 
< 200 / 326 >

この作品をシェア

pagetop