この恋を叶えてはいけない
「はぁっ……」
家に入って、すぐに鍵を閉めた。
特別、誰かに声をかけられることも、
後ろに感じた気配が追いかけてくることもなかった。
やっぱりあたしの勘違いだ。
最近ちょっと神経質になってるのかも……。
そう言い聞かせて、買ってきたコンビニ弁当をテーブルの上に置いた。
その途端……
ピンポーン……
「!!!」
途端に聞こえた、インターフォンの音。
心臓がドクンと跳ね上がった。
あたしが住んでいるアパートは、決して高級なところではない。
だからオートロックでもないし、インターフォンにビデオカメラが設置されているわけでもない。
うるさいくらいの心臓を抑えながら、なんとか自分の気配を消して、そっと玄関へと向かった。
そっと覗き穴から外を伺う。
だけど……
「?」
そこには、誰の姿もなかった。