この恋を叶えてはいけない
「で?これからどないすんの?」
「これから、っていうのは……」
「ストーカー。
この家知っとるんやろ。
引っ越したほうがええんやない?」
「……ですよね…」
やっぱり、知られている家に住むのは怖い。
このアパートに住んで3年。
完全に住み慣れて、ハッキリ言って引っ越すのは惜しいけど……。
「今日、帰りに不動産屋寄っていきます……」
自分の身の安全が第一。
慣れ親しんだ部屋を出ることにした。
「………家に来ぉへん?」
「え……?」
突然の提案に、聞き間違いかと思って顔を上げた。
戸村さんは、ほんの少し頬を染めてて……
「いや、ほら……
一人とか、怖いかと思うて……。
俺の部屋も、一つ余っとるし」
「……」
もしもあたしたちが、付き合っていたら、その返事にOKを出していたかもしれない。
だけどまだ、曖昧な状態でそれを引き受けるわけにもいかないので……
「それは……遠慮しておきます」
と答えた。