この恋を叶えてはいけない
 

「シャワー浴びる?」
「あ、戸村さんがお先にどうぞ……」
「俺、朝風呂派やから」
「そう、ですか……」


そう言われては仕方ない。

この部屋に二人きりでいるのもなんだか気まずくて、お言葉に甘えてシャワーを浴びに行こうとした。



「あ、ちょっと気になってたんやけど……」

「はい?」


パジャマと替えの下着を持って、お風呂場へ行こうとしたら、
後ろから戸村さんが声をかけてきた。


「ストーカー。
 今日いたやつが、ずっとしてたん?」

「あ……はい、多分……。
 あの人、あのお弁当屋さんの常連さんだったんです。

 ずっとあたしのことを探していたみたいで……
 昨日も戸村さんがあたしの部屋に来たのを知ってました」

「……そうか…」

「どうかしたんですか?」


あたしの言葉を聞いて、戸村さんは納得のいっていない顔をしている。

気になって問い返してみると……




「じゃあ、昨日の男は誰やったんやろう……」




とつぶやいていた。
 
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