この恋を叶えてはいけない
 
「え……?」


初めて聞くそのワードに、首をかしげた。

確か昨日は、戸村さんが家に来るとき、誰も周りにいなかったって……。


「あ、昨日な。
 唯ちゃんがシャワー浴びてるときに、男が来たねん」

「男……?」

「そー。
 俺とタメくらいの」

「……」


それを聞いて、ありえない答えが頭の中に浮かんでしまう。


「せやけど、昨日はそいつがストーカーかと思うたから、すぐに追い返したんやけど……。
 今日見た男と全く別人だったなぁ……
 っちゅか、かなりのイケメンやったし」

「……」

「ん?唯ちゃん、どないした?」


急に黙ったあたしに、今度は戸村さんが首を傾げていて……



「あ……いえ……。
 誰、でしょうね……。

 シャワー浴びてきます」



と答えて、一人お風呂場へ向かった。
 
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