この恋を叶えてはいけない
そんなわけない。
来るはずない。
だって今朝だって、
【昨日大丈夫だった?】
というそっけないメールが入ってたんだから……。
わざわざ大阪から東京に来るなんて……。
きゅっと出したシャワーの水圧は
あたしの家なんかよりもずっと強くて、
体を打ち付けるように熱いお湯が体を注ぐ。
「唯ちゃん」
「……はい」
真っ暗な部屋。
慣れないベッドで天井を見上げていると、ドアから戸村さんの声。
「ソファー、やっぱり寒くて……。
一緒に寝てもええ……?」
もう、戻らないと決めた。
あたしは前に進むしかない、と。
「………はい」
あたしはこれから、
目の前のこの人を好きになる。