この恋を叶えてはいけない
17章 悲劇的な再会
 
「え、大阪ですか?」


業務中、上司に呼び出されたと思ったら、思いがけない言葉。

咄嗟に言われたことを繰り返してしまった。


「そう。遠藤が、大阪の取引先にプレゼンに行くんだよ。
 それで一人、秘書的な子が欲しい、って言ってたからお前が適任だと思って」

「……はあ…」


遠藤さんとは、あたしが担当している部署のリーダーで、よくあたしが書類等のチェックをしている。
だけど事務のあたしが、出張なんて今までしたことはなくて……


しかも……
よりによって大阪……。


なんとも言えない複雑な気持ちが膨らんだ。


「あとそれと、戸村も行くから」
「戸村…さんですか?」
「ああ。大阪のことを知るには戸村が必要と思ってな。
 今回のプレゼンも、戸村が噛んでるんだ」
「……」
「というわけで、来週の頭から出張だからそのつもりで」
「……はい」


上司の言葉に、拒否権なんてものはない。


上の空で返事をしながら、そのまま席へと戻った。
 
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