この恋を叶えてはいけない
 
「知っとったけど、先に言うて唯が知ってるのを上司に知られたら、俺らが親密な仲なのがバレるやん」

「親密って……」

「ちゃうの?」

「……」


必要以上に顔を近づけてきて、にやりと微笑む。


一緒に住んで、距離が近くなってから気づいた。


戸村さんは思った以上に、Sっ気で小悪魔な性格だ。
分かってて照れさせるようなことをするし、あたしに脈があるとバレているせいか、グイグイと攻めてくる。


いつの間にか、呼び名も「唯ちゃん」から「唯」になってるし……。


「ほんまは、仕事じゃなくて、プライベートで唯を大阪に連れて行きたかったけどなぁ……」

「そうですね」

「今度行こうな」

「……はい」


あたしもあたしで、戸村さんのことは前向きで考えているから、
そう言った質問にもちゃんと答えていた。
 
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