この恋を叶えてはいけない
 
ああ、どうして……
こんなにも心が弱っているときに、そんな言葉を聞いてしまうんだろう……。


頭の中では
さっきの駿と女の人の姿が浮かんできて……


また一筋、涙が零れ落ちる。



「唯……」

「……」



体を反転させられて、真正面から見つめられる。


真っ直ぐと見つめるその瞳は、逸らされることを許さなくて……




「もういい加減……

 待てへん」


「と……」




あたしの言葉は、それ以上漏れることはなかった。



戸村さんの唇によって……。
 
< 251 / 326 >

この作品をシェア

pagetop