この恋を叶えてはいけない
19章 神様のイタズラ
「唯、はよーせんと先行くで」
「待ってよ!」
あれから1年の月日が流れ、あたしは陵と順調に付き合っていた。
住んでいたアパートも引き払い、
新しい部屋を探そうと思ったけど、結局陵に押し切られて陵と同棲することに。
住所も同じことから、社内で黙っているわけにもいかず、すっかり公認の仲にもなっていた。
駿とはあの日から、だんだんと連絡する頻度が減っていった。
週に1回くらいしていたメールも、用件があるときにしかしなくなったので月1程度。
電話なんて、ここ半年以上してない。
でもそれでよかった。
もし電話なんかで声を聞いてしまったら
せっかく自分の心の中が陵でいっぱいになっているのに、それが全部水の泡になってしまいそうだったから……。
駿と連絡を途絶えることで
自分の中での駿の存在もだんだんと薄くなり、
これから先、遠く暮らしてさえいれば
あたしは駿を兄として見ることができるだろうと思っていた。
【東京に転勤することになった】
そのメッセージを見るまでは。