この恋を叶えてはいけない
バチッと絡み合う視線。
上がる心拍数。
「あ……ご、めん……。
あたしの勘違い、だったねっ……」
慌てて目を逸らして、無理やり笑顔を作った。
ズキズキと、過去を知って胸が痛んでいく。
考えたくない。
考えちゃいけない。
「あ…あたし、そろそろ戻るね。
日付変わっちゃったし」
「ああ。そうだな」
時刻は0時を過ぎていて、逃げるように立ち上がった。
ドアまで足早で行くあたしを、見送るように駿もあとからついてきて、
「唯香」
何もかもを、停止させてしまいそうな深みのある声で、名前を呼ばれた。