この恋を叶えてはいけない
 
「な、に……?」


鼓動が、トクントクンと高鳴っていて、
出来る限りのポーカーフェイスを向ける。


「ストーカー。
 ……彼が守ってくれたんだろ?」

「え?」


それはあまりにも忘れかけていた出来事で、一瞬聞き返してしまう。


だけど確か1年前。
あたしはストーカーで悩まされていて……


「うん……」


陵に頼り、守ってもらっていた。


「そっか。よかったな」


あたしの返事に、駿は納得したように微笑む。
なんとなく、その奥にもっと深いものが隠されているような気がしたけど、


「じゃあ、おやすみ」


と言って、送り出そうとする駿に、あたしもそれ以上は何も聞けなかった。



「うん……おやすみ、なさい……」



パタンと閉じられたドア。


一歩踏み出すと、



「……っ…」



あたしはその場にうずくまった。
 
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