この恋を叶えてはいけない
「おかえりぃ。
意外と早かったなぁ」
部屋に戻ると、珍しくシャワーを浴びていた陵が、
上半身裸のまま缶ビールを開けていて、
「おわっ……
どないした?」
「……」
あたしは鞄を投げ捨てると、そのまま陵に抱き着いた。
「唯?」
「……ちょっと……思い出話してたら、人恋しくなっちゃって……」
「そか」
あたしの言葉に、陵は優しく頭を撫でる。
安心する大きな手。
自分の一部となった匂い。
背中に腕を回して、陵の存在をあたしの心に刻み込んだ。
「陵……好き…。
ずっと傍にいて……」
「そんなん、当たり前や」
もう、後悔も後戻りもしたくない。
今のあたしが好きなのは
目の前のこの人だから……。