この恋を叶えてはいけない
「お前も今帰ってきたの?」
「うん……。
雨、すごいね」
「ああ」
当たり障りのない世間話。
避けるのはおかしい。
これからは普通の兄妹なんだから。
そう言い聞かせて、隣のポストを見るだろうと思って一歩横にずれた。
その瞬間、
ゴロゴロゴロ……
「…っ」
鈍い雷の音が聞こえ、ビクッと体を震わせてしまった。
「相変わらず、雷弱いんだな」
「仕方ないじゃん。苦手なものなんて、早々変わんないし」
「ふっ……。
戸村くんは?帰ってくるまで、不安なんじゃねぇの?」
「……今日は帰ってこないよ」
「え?」
「出張だし」
その言葉に、駿からの返事が一瞬遅れた。
だけど一瞬の間があったあと、
「そりゃ、災難だな」
なんて笑われただけだった。