この恋を叶えてはいけない
 
一緒にエレベーターに乗り込むと、床はもうすでに水浸し。
みんな傘なんか意味をなさずに帰ってくるんだろうな……。


部屋の階数について、先に降りる。
後ろからも駿がついてきた。


お互いの部屋の前に立って、鍵を差し込むまで、ずっと無言だった。


「……じゃ。片づけ頑張ってね」
「ん」


それだけ言って、部屋の中へと入った。


パタンとドアを閉じた瞬間に、気が抜け思わずへたり込む。


何、実の兄貴に緊張してるんだか……。


そんな自分に苦笑して、すぐに立ち上がると、リビングには寄らずに洗面所へと向かった。


先にシャワー浴びちゃおう。


濡れた服を洗濯機に放り込んで、すぐに浴室へと踏み入れた。

お風呂場は窓がないので、外の豪雨の音から遮断され、雷からも逃げられる。


シャワーを目いっぱい出して、熱いお湯を体に打ち付けた。


今日が終われば、
明日また陵に逢える。
 
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