この恋を叶えてはいけない
 
陵は顔を上げ、目を見開いてあたしを見つめた。

そんな陵に、微笑みかけると、さらに言葉を続けた。



「陵といて……
 一生忘れることが出来ないと……振り切ることは出来ないって思ってたその想いに……
 どんどん陵があたしの心の割合を占めるようになったの……。

 寂しさを埋めるためだけだと思っていたのに、
 いつしか本当に……本気で陵のことを好きになってた。


 今のあたしの人生に、その彼と陵のどちらかが欠けてしまうとしたら……

 あたしは陵のほうが耐えられない」


「唯……」



ずっとずっと考えてた。

駿を忘れられない自分。
陵を好きになっていく自分。

どちらを選ぶかとか
どちらの想いを捨てきらなくちゃとか

いつもそんなことばかり考えてた。


だけどきっと
あたしには一生その答えを出すことはできなくて……




「それでも……いいかなっ……?

 忘れられない彼を思い出として背負っているあたしでも……
 そんなあたしでも……陵は受け入れてくれる……?」


「唯香っ……」




陵は、あたしを強く抱きしめた。
 
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