この恋を叶えてはいけない
 
「そんなん、当たり前やん……。

 俺は最初から、唯が別の誰かを好きでいるのを分かっててぶつかったんやで。

 そいつを……思い出としてもつくらいかまへん……」


「陵……」


「唯が俺を選んでくれる。
 それだけで充分なんや……。

 せやから……

 そんな悲しい顔せんといて……」


「陵っ……」



あたしは、陵の背中に腕を回した。

あたしを抱きしめる陵の腕の力も、より強くなって、
強く強く、あたしたちは抱きしめあった。


この腕を離したくない。

あの時選んだことに後悔なんかしていないから……。


ずっとずっと
こんなあたしを守ってきてくれた腕。


あたしの大好きな人……。
 
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