この恋を叶えてはいけない
「しゅ、ん……っ」
あたしも堪えきれず、
その背中に腕を回した。
「あ、たし……
いいのかなっ……本当に結婚して……」
「当たり前だろ。
これでいいから……。何も間違ってない」
「でもっ……」
「お前は戸村くんのこと、好きなんだろ?」
その言葉に、一瞬のためらいを持って
胸の中で小さく頷いた。
それを確認した駿は、頭を撫でると
再び強く抱きしめた。
「たとえ唯香が結婚しなくても……
俺たちは一生結ばれないから」
「…っ」
一生結ばれない。
その言葉に、どれだけの威力が混じっているだろう。
胸が痛くて…
心が苦しくて……
何度別れを告げても
悲しみはとれない。