この恋を叶えてはいけない
 
「唯香……」


そっと体を離し、涙で濡れた頬を撫でる。

それでもとめどなく涙は溢れてきて……



どうか……

今だけでいい。



世界中の人も……

愛する人も……


神様も……



今だけは目をつむっていてください。




あたしと駿の

最後の時間。




本当に今度こそ
サヨナラを……。





「愛してるよ。

 一人の女の子としても……

 妹としても……」





駿はその言葉とともに

唇よりほんの少しだけズラしたその脇に



震えるキスを落とした。
 
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