この恋を叶えてはいけない
最終章 それぞれの道
1年後―――
「唯香ちゃん、ほんま綺麗やなぁ……」
新郎新婦の控室に、陵のご両親も入ってきて、あたしの姿を見て感激してくれた。
あたしは純白のドレスに包まれ
ピンク色の口紅を塗ってもらう。
髪を再度整えてもらうと、その姿を控室にいる人たちへ向けた。
「ほんまや……。
陵にはもったいないなぁ」
「うるさいわ。
満足したなら、出ていきぃ」
ひたすら褒めまくる両親に、陵も散々飽き飽きしたようで、さっさと控室を出るよう背中を押す。
「なんや陵。アンタ、褒め言葉の一つも言わへんで」
「そうやで。女は褒めて喜ぶもんなんや」
「うるさい!はよー出て行きぃ!」
お義父さんお義母さんも、まだまだここに残りたそうだったけど、結局陵に押しやられて控室を出て行った。
「すまんな」
「ううん」
メイクさんも一緒に出て行って、
控室に二人きりになると、陵がバツが悪そうにこっちへ寄ってきた。