この恋を叶えてはいけない
「何度会っても、明るいお父さんとお母さんだよね」
「それだけが売りやからな。
時々、うっとおしいねんけど」
「ふふっ。それが楽しいんだよ」
呆れ果てて答える陵に、思わず笑みがこぼれる。
陵はぽりぽりと頭をかくと、コホンと咳払いをした。
「けどほんま……
綺麗やで」
「あ……ありがとう」
改めて言われるその言葉に、つい照れて頬が染まった。
陵は比較的ストレートに気持ちをぶつけてくるほうだけど、今の状況で言われるのは別格だ。
「なんか夢みたいやなぁ……。
ほんまに唯と結婚する日が来るなんて」
「何それ。プロポーズもしておいて」
「そうやけど……。
ほら、……なあ…」
「……うん…」
陵の言いたいことは分かっていた。