この恋を叶えてはいけない
「そういえば、旅行……楽しかった?」
「え?あ……」
すっかり沈んでしまった空気から、お母さんが全然違う話にすり替えた。
旅行をしたのは3週間も前。
だけど仕事で忙しかったお母さんとは、なかなかそういったゆっくりとした話が出来なくて、今になってそんな話をもちかけられた。
「あー……まあ……うん」
その質問に、曖昧に頷く。
決して、楽しかったと言える旅行ではない。
行く前までは、貴志との誕生日旅行だと浮かれていたけど、その2日前に浮気が判明し別れ、それは傷心旅行となった。
最低で最悪な誕生日旅行となることを想定していたのに、あの日出逢った一人の青年。
シュンという名前しか知らない。
だけど彼のおかげで、あたしの心はすっきりと晴れ、貴志への想いも浄化された。
そして……
言葉では言い表せないほどの
燃えるような夜。