この恋を叶えてはいけない
 
「……」


今思い出すだけで、体に熱を帯びていくようなそんな感覚。

彼の触れる指先が
ひとつひとつ熱に侵されていくみたいで

まるであの日、
動物のようにお互いを求め合った。



だけどあたしたちの間に、そこから恋愛感情を求めているわけではないことは一致していて。

あの日の夜、確かに忘れられない夜があったけど
またもう一度…という気持ちにはならなかった。



(目が覚めたら……
 もう姿を消してて)



窓から差し込む月明かりの下、
乱れた呼吸が整った頃。


天井を見上げている彼に一言言った。


彼はとくに驚いた顔をすることなく、あたしのほうへ振り向くと
ちゅっと軽くおでこにキスをしてから、唇に口づけた。



そこから先は、あまりよく覚えてない。



だけど次に目を覚ました時には
確かにそこに、シュンの姿はなかった。
 
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