この恋を叶えてはいけない
 
「駿はきっと覚えてるわよね。
 自分に妹がいたってことは……」


「……ああ」


喉がカラカラなのか、少しかすれ気味にうなずく駿。



自分に妹がいるのは知っていた。


だけどまさかあの夜
出逢った女が妹だなんて思わなかったんだろう。



「ごめんね……。
 お父さんとお母さんの勝手な都合で……。

 二人を離れ離れにさせちゃったわね……」



申し訳なさそうに謝るお母さんを、決して責めようとは思えなくて。
もし自分が逆の立場だったら、同じようなことをしそうな気がして。


だけど……




どうして運命は
こんなにも残酷なんだろう……。




「……だい…じょうぶ……」




駿よりも、だいぶかすれた声で
ただそう答えることしか出来なかった。

 
< 46 / 326 >

この作品をシェア

pagetop