この恋を叶えてはいけない
「駿はきっと覚えてるわよね。
自分に妹がいたってことは……」
「……ああ」
喉がカラカラなのか、少しかすれ気味にうなずく駿。
自分に妹がいるのは知っていた。
だけどまさかあの夜
出逢った女が妹だなんて思わなかったんだろう。
「ごめんね……。
お父さんとお母さんの勝手な都合で……。
二人を離れ離れにさせちゃったわね……」
申し訳なさそうに謝るお母さんを、決して責めようとは思えなくて。
もし自分が逆の立場だったら、同じようなことをしそうな気がして。
だけど……
どうして運命は
こんなにも残酷なんだろう……。
「……だい…じょうぶ……」
駿よりも、だいぶかすれた声で
ただそう答えることしか出来なかった。